2020年度から形式が大きく変わると報道されている今年のセンター試験が終了。変わるのはセンター試験だけでなく高校教育が大きく改革されるようです。この改革によって「机の上での勉強」だけでは体験できない・身につけることが難しい「何か」を学ぶ「部活」のあり方も変わるのかもしれません。
まず、そもそもなぜセンター試験というものがあるか。
センター試験を運営している独立行政法人大学入試センターさんのホームページではこう書かれています。
大学入試センター試験は、大学(短期大学を含む。以下同じ)に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習達成の程度を判定することを主たる目的とするものであり、国公私立大学が、それぞれの判断と創意工夫に基づき適切に利用することにより、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に判定することに資するために実施するものです。
私が大学受験をした約20年前に比べるといろいろな合否判定の方法ができていますが、「センター試験の点数+それぞれの大学で行われる2次試験の点数を合計で合否の判断を行う」という国公立大学の一般試験は変わっていません。
この文面を読むと「センター試験はあくまでも高校での基礎を図る目安のテスト」であり、「最終的には各大学が独自のテストで多面的に判定すればよい」と私はとらえています。センター試験だけがダメなわけではないと考えていますので私なりに少し調べてみました。
なぜこのセンター試験を改革しなければならないか?
教育方針を検討する中央教育審議会(文部科学省管轄)が平成26年12月22日出した答申にありました。
新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について
~ すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花開かせるために ~<はじめに>
本答申は、教育改革における最大の課題でありながら実現が困難であった「高大接続」改革を、初めて現実のものにするための方策として、高等学校教育、大学教育及びそれらを接続する大学入学者選抜の抜本的な改革を提言するものである。
将来に向かって夢を描き、その実現に向けて努力している少年少女一人ひとりが、自信に溢れた、実り多い、幸福な人生を送れるようにすること。
これからの時代に社会に出て、国の内外で仕事をし、人生を築いていく、今の子供たちやこれから生まれてくる子供たちが、十分な知識と技能を身に付け、十分な思考力・判断力・表現力を磨き、主体性を持って多様な人々と協働することを通して、喜びと糧を得ていくことができるようにすること。
彼らが、国家と社会の形成者として十分な素養と行動規範を持てるようにすること。
我が国は今後、未来を見据えたこうした目標が達成されるよう、教育改革に最大限の力を尽くさなければならない。
生産年齢人口の急減、労働生産性の低迷、グローバル化・多極化の荒波に挟まれた厳しい時代を迎えている我が国においても、世の中の流れは大人が予想するよりもはるかに早く、将来は職業の在り方も様変わりしている可能性が高い。そうした変化の中で、これまでと同じ教育を続けているだけでは、これからの時代に通用する力を子供たちに育むことはできない。
この厳しい時代を乗り越え、子供や孫の世代に至る国民と我が国が、希望に満ちた未来を歩めるようにするため、国は、新たな時代を見据えた教育改革を「待ったなし」で進めなければならない。
平成26円12月22日 中央教育審議会 発表
下の図を合わせてみるとわかりやすいのですが、中央教育審議会の主な所掌事務のひとつである「教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成」に高校と大学が連携して取り組むということのようです。
(平成26円12月22日 中央教育審議会 「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」の別添資料2)
この教育改革は大学受験をする高校生だけに影響が出るわけではないようです。「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が盛り込まれていますので、ほとんどの高校生に何かしらの影響が出るようです。
下の図を見ていただいたらわかる通り、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は「進学時や就職時に基礎学力の証明や把握方法のひとつ」と位置付けられていますので、専門学校に進学する場合も就職する場合も無関係ではないようです。
(平成26円12月22日 中央教育審議会 「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」の別添資料3の一部抜粋)
前置きが大変長くなりました。
ようするに、進路を左右する大きなテストが増える!
問題はこの「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施時期です。
このテストの目的が『生徒が、自らの高等学校教育における達成度の把握及び自らの学力を客観的に提示することができるようにし、それらを通じて生徒の学習意欲の喚起の改善を図る。』とされています。
パッと思い浮かぶのは
①高校1年生・2年生の3学期にそれぞれ1回
②高校2年生の2学期後半に1回
です。
進学・就職に影響するテストですから、高校生としては受けないわけにはいきませんでしょうし、先生としてはできるだけ「良い点数」をとってもらわなければ「いろいろな意味」で困るでしょう。
ということは、このテストのためにどこかの土日がつぶれてしまうことになるでしょう。授業がテスト範囲に追いついていない場合は補習が行われるはずです。試合や大会ができない時期ができたり練習時間が短くなったりと部活に支障が出る可能性が高まります。
※バスケのウインターカップや春高バレーは受験生を考慮して数年前から日程が変わっています。高校サッカー「選手権」では大会が終わればセンター試験を受けるという選手の紹介が毎年あります。
特に、担任や授業などすべてをこなさなければならない先生が指導者である部活(チーム)には大きな影響が出ると考えてしまいます。(専属の外部指導者がいる部活(チーム)への影響は小さいかもしれません)
※ちょっと脱線しますが、公立中学校の教員が部活の顧問をすることは違法だという考え方もあります。(http://bukatsu1234.blog.jp/)
高校生ですから、本分は「勉強」であることには間違いありませんが、「机の上での勉強」だけでは体験できない・身に着けることが難しい「何か」が「部活」にあると私は思っています。
大切なのはバランス。
今の小学6年生が高校生になるときには「勉強と部活の両立」の仕方が大きく変わるのかもしれません。
ただ、最初に紹介した「はじめに」の文章の通り、『将来に向かって夢を描き、その実現に向けて努力している少年少女一人ひとりが、自信に溢れた、実り多い、幸福な人生を送れる。これからの時代に社会に出て、国の内外で仕事をし、人生を築いていく、今の子供たちやこれから生まれてくる子供たちが、十分な知識と技能を身に付け、十分な思考力・判断力・表現力を磨き、主体性を持って多様な人々と協働することを通して、喜びと糧を得ていくことができる。』ように成長してほしいです。
このブログの資料はすべて中央教育審議会の資料です。全文はこちらをご覧ください。
と考えていたんですが、3学期の期末テストを「高等学校基礎学力テスト(仮称)」にあてれば影響が少ないと思いつきました。
浅はかかな???
和氣 宗一郎
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