西予市の新しいまちづくり「はちのじ計画」とは
平成27年11月21日付愛媛新聞さんの地方欄に西予市宇和中心部の一体整備事業である「はちのじ計画」に関する記事が掲載されていました。
愛媛新聞さんの記事に「PFI 住民に浸透せず」とある理由はとにかくわかりにくからではないでしょうか?
資料を何度も読み直しましたが、誰がやるのか?責任はだれが取るのか?ほんとにわかりにくいです。
(ちなみに、この新聞記事に書かれてい住民向け説明会が行われたのは平成27年10月15日ですが、平成27年11月25日現在ではその説明会の資料はホームページに掲載されていません。)
【卯之町まちづくり構想】
「JR卯之町駅」、「商店街」、「卯之町の町並み」は個別のモノとしてまちづくりを行ってきましたが、これらのモノを一体的な空間ととらえ、「はちのじ」を描くように人の流れをつくる新しいまちづくりを検討しております。その手段として官民連携の手法を検討しており、可能性調査を現在進めております。
官民連携とは、行政主体で実施してきた公共サービスを、何が最も有効的で効率的なサービスの担い手になり得るかという観点から、新たな行政(官・公)と民間事業者(民)が相互に連携して実施していくものです。
具体的には、行政サービスに民間のアイディア、資金、技術、ノウハウ等を取り入れることで、行政サービスの向上、事業効率のアップ、財政負担の軽減、地域経済の活性化を図ることができます。 こういったことが、西予市で可能なのか!西予市で行うメリットはあるのか!その可能性調査を現在進めております。
説明会なども随時進めていく予定ですので、興味のある方はご参加をお願いいたします。
西予市ホームページより
(https://www.city.seiyo.ehime.jp/zokusei/unomachitsukuri/)
この構想自体になんら問題はないと思われますが、問題は手法です。
PFI法に基づく事業契約
という手法で行われます。
このPFIというのがこの構想をわかりづらくしています。
■「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。
■ 民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施します。
■ PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指します
■ 我が国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられました。
■ 英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。
PFI事業を行うことにより、次のような効果が期待されます。
1.低廉かつ良質な公共サービスが提供されること
PFI事業では、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用できます。また、事業全体のリスク管理(*)が効率的に行われることや、設計・建設・維持管理・運営の全部又は一部を一体的に扱うことによる事業コストの削減が期待できます。
これらにより、コストの削減、質の高い公共サービスの提供が期待されます。
*リスク管理
事業を進めていく上では、事故、需要の変動、物価や金利の変動等の経済状況の変化、計画の変更、天災等さまざまな予測できない事態により損失等が発生するおそれ(リスク)があります。PFIでは、これらのリスクを最もよく管理できる者がそのリスクを負担します。2.公共サービスの提供における行政の関わり方の改革
従来、国や地方公共団体等が行ってきた事業を民間事業者が行うようになるため、官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくことが期待されます。3.民間の事業機会を創出することを通じ、経済の活性化に資すること
従来、国や地方公共団体等が行ってきた事業を民間事業者にゆだねることから、民間に対して新たな事業機会をもたらします。また、他の収益事業と組み合わせることによっても、新たな事業機会を生み出すこととなります。PFI事業のための資金調達方法として、プロジェクト・ファイナンス等の新たな手法を取り入れることで、金融環境が整備されるとともに、新しいファイナンス・マーケットの創設につながることも予想されます。このようにして、新規産業を創出し、経済構造改革を推進する効果が期待されます。内閣府PFIホームページより
(http://www8.cao.go.jp/pfi/aboutpfi.html)
かなりわかりにくいのですが、地方自治体がとある業務を民間にゆだねる「郵政民営化の地方自治体バージョン」と言ったら良いのでしょうか?
どうやらPFI事業者と言われる「はちのじ計画」を受託する会社がいるようです。
その会社は大手ゼネコンさんだとか・・・
この計画が西予市内の事業者で完結できるほど小さな計画ではないので資金力やノウハウがある大手ゼネコンさんが受託するのでしょう。
しかし、そうなった場合、地域の住民や事業者の声を拾ってくれるかどうかは「?」です。
市も「できる限り地元企業が参画できるように配慮したい」と言っていますので大手ゼネコンさんにゆだねることになると推測できます(あくまでも推測です)。
ただ、契約内容に『事業契約期間は選定事業者と市との事業契約期間は、契約締結日から 30 年間を予定する。』とあります。これから30年も大手ゼネコンさんにまちづくりをゆだねるのかなぁ?
※新しいまちづくりには「若者・よそ者・ばか者」が必要だと言われておりますので、「よそ者」である大手ゼネコンさんに住民が「当たり前過ぎて気づいていないこと」を教えてもらうのは大切なことだと思います。そして、地元住民が「若者・よそ者・ばか者」と一緒に変わっていくことが理想だと思いますので、大手ゼネコンさんを否定しているわけではありません。
この記事を書きながら、大学浪人をして予備校に通っていたときにある講師が言っていた言葉を思い出しました。
「本当に理解している人間は、専門用語をできるだけ使わずに簡単に説明ができる」
これはジオガイド研修会等でも常々言われていることです。
そして、ワケスポーツ宇和店にご来店いただいたお客さまに対しての商品説明でもいつも気を付けていることです。
※専門用語を覚えなくても良いということではありません。知ったうえで言葉を言い換える(わかりやすい比喩で表現する)ということです。
ということで、住民説明会の頻繁な開催はもちろんですが、もっとわかりやすい説明をホームページで公開してもらいたいです。
※わかりにくいということで、西予市ではこの事業に関する対話を受け付けております。
西予市ホームページ(https://www.city.seiyo.ehime.jp/docs/2015082800040/)をご覧ください。
いろいろと「?」な点が多いですが、
・人間は理解できないものを否定する
・「わかりにくい」という理由で説明を待っているだけではダメ
だと思うので、まずは自分自身が自らPFIについて勉強したいと思います。
生まれ育ったまちが良くなることに関しては何ら反対しておりません。
この事業が「持続可能なまちづくり=四国西予ジオパーク構想」に沿って住民主体で行わえるのであれば、しっかりと参画したいと思っております。
最後に。
もともと「はちのじ計画」区域は「JR卯之町駅」、「商店街」、「卯之町の町並み」だけでしたが、「旧宇和病院跡地」が追加されていました。しかし、別の予算がついた「宇和米博物館」は「はちのじ計画」に含まれていないようです。(「ようです」というのは西予市に確認をしておりません。)
「旧宇和病院跡地」よりも「宇和米博物館」の方が区域に近いのですが・・・
和氣 宗一郎
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